研究科長あいさつ
岐阜大学と鳥取大学の大学院共同獣医学研究科は、2019年4月に開設されました。この共同研究科が設置される前は、岐阜大学は帯広畜産大学、岩手大学および東京農工大学とともに構成する連合獣医学研究科において、一方、鳥取大学は山口大学および鹿児島大学とともに構成する連合獣医学研究科において、獣医学の様々な分野で活躍できる研究者を養成してきました。両大学が、異なる研究科で培ってきた実績を生かして、新しい研究科を共創したことになります。2022年度が完成年度となり、標準年限で修了する1期生が博士号を取得することになります。優秀な成果をあげた場合には3年間で修了することができますので、すでに短縮修了者が学位を取得している状況にあります。
本研究科では、学部での獣医学ジェネラリスト教育を基盤に高度な専門性を付与するための教育プログラムとして、「家畜衛生・公衆衛生スペシャリスト」、「One Healthスペシャリスト」、「難病治療・創薬スペシャリスト」の養成科目を配置しています。家畜衛生・公衆衛生スペシャリストのプログラムでは、豚熱や口蹄疫などの感染症対策にリーダーシップを発揮できる研究者の養成を目在します。One Healthスペシャリストのプログラムでは、地球全体の健全性維持の対策を考えることができる研究者の養成を目指します。また、難病治療・創薬スペシャリストのプログラムでは、基礎研究で得られた成果を臨床に応用できる技術や創薬へと繋げるトランスレーショナルリサーチを推進できる専門家の養成を目標とします。
入学時に4年以上の年限を選択できる長期履修制度もありますし、オンラインで単位を取得する環境も整っていますので、社会人をはじめ多様な学生がそれぞれの状況に合わせて学べるようになっています。令和3年3月に閣議決定された「第6期科学技術・イノベーション基本計画」では、優秀な志のある博士後期課程の学生への経済的支援を強化し処遇向上を図るとされており、今後は研究に専念できるように生活費や研究費が支援されるようになります。現在の職種・職階にかかわらず、高度な専門性を獲得したいという想いがある皆様には、本研究科への入学をお薦めします。
今後も、教職員一同、共同獣医学研究科の教育・研究の発展と充実に向け、努力してゆく所存です。皆様のご理解とご支援を賜りますよう、お願いいたします。
令和3年4月1日より、鳥取大学大学院共同獣医学研究科の研究科長を拝命いたしました。本研究科は、平成31年4月に岐阜大学大学院共同獣医学研究科との共同研究科として発足し、令和3年4月に設立から3年目を迎えました。岐阜大学共同獣医学研究科との共同教育を行う本研究科は、高度な専門知識と技術、倫理観を有し、国際社会や地域社会で指導的役割を果たす獣医学専門家の育成を教育研究の理念とし、生態系の健全性を含む動物や人の健康に関する幅広い分野の先端的研究の推進、並びに獣医学の高度化に貢献する教育・研究者の養成を目指しています。
近年、高病原性鳥インフルエンザや豚熱など、国内での様々な家畜伝染病の発生を背景に、獣医師にはこれまで以上に高度な知識と技術、高い専門性が求められています。本研究科では、研究者養成のための教育・研究はもちろん、感染症制御や先端的獣医療など社会からの実践的要請に応える専門家を養成すべく、感染症対策に特化した家畜衛生・公衆衛生スペシャリスト、人と動物と環境を包括的に理解し人獣共通感染症などの問題解決に特化したOne Healthスペシャリスト及び基礎から臨床を繋ぐトランスレーショナルリサーチに特化した難病治療・創薬スペシャリスト、これら3つのスペシャリスト教育プログラムを推進しています。
本研究科は岐阜大学との共同教育を実施しており、開設当初からオンラインを活用した教育・研究指導を推進、必要な設備充実を図って参りました。こういった設備は、大学から離れた場所で働きながら学位取得を目指す多くの社会人学生の指導にも活用され、COVID-19流行下での研究指導にも期せずして力を発揮しています。また社会人学生にはオンラインによる指導に加え、長期履修制度を導入し就学支援の充実を図っています。本研究科ではまたグローバル化への対応を進め、海外での学会・研究活動を積極的に推進しています。昨年度にはインドネシア・アイルランガ大学獣医学部と学術交流協定を締結、国境を越えた活動が困難な状況ではありますが、研究科の学生や教員がオンライン開催のシンポジウムに参加し交流を深めています。
令和3年11月現在、COVID-19の終息は未だ見込みが立たず、研究科においても様々な影響を受け多くの皆様にご不便をお掛けしています。このような状況ではありますが、令和3年度から4年度には、研究科第1期生の学位審査を控え、教職員一同、共同獣医学研究科の教育・研究の発展と充実に向け、なお一層の努力を続けている所です。つきましては、引き続き皆様方のご理解とご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。